こどもたちの”笑顔”で街を元気に【出張こども大工】

不動産という切り口以外で みんなを笑顔にする。

point
  1. 不動産という切り口以外でみんなを笑顔にする
  2. SDGsとしての位置づけ
  3. 【出張こども大工】がもたらす未来

不動産という切り口以外でみんなを笑顔にする

子どもたちの笑顔のために、様々な体験を通して地域育成を図る『北九州みらいキッズプロジェクト』。

その一環として、大英産業が中心となり、住宅を建築する際に出る端材を活用して子どもたちにイスづくりなどの大工体験をしてもらう【出張こども大工】を行っています。

【出張こども大工】はどのようにして始まったのか?
どんな未来が生まれようとしているのか?

担当の大英工務店・鮎川さん、大英産業・小野さんにお話を伺いました。

大英工務店・鮎川さん、大英産業・小野さん

まず、【出張こども大工】とは、どんな活動なのでしょう?

鮎川:家をつくるとき、どうしても木材が余ってしまうんです。その住宅端材を廃棄せずに活用しよう!と考えられたのが、子どもたちが自分たちの手でイスやフォトフレームをつくる大工体験です。

まず端材の切り出しを大工さんが行い、その後、障害福祉サービス事業所の『桑の実工房』がきれいにヤスリをかけて研磨してくれます。
そのすべすべの木材キットを使って、大工さんの指導のもと、子どもたちがイスやフォトフレームをつくっていきます。

軍手とヘルメットで大工さんになりきって、工程も電動インパクトドライバーを使ったりのこぎりを駆使したりと、作業はなかなか本格的。

電動インパクトドライバーを扱う子どもたちの表情も真剣です。

子どもたちも初めての体験に、夢中になってつくり上げます。
指導には大工さんのみならず、スポンサー企業の方や大英産業の社員も参加しますが、大人の方が熱中してしまうこともあります(笑)。

イスのキットは事前に幼稚園に送られ、子どもたちの手形と将来の夢が描き込まれるので、世界に一つだけのオリジナルのイスが出来上がります。

できあがった椅子に大満足の子どもたち

フォトフレームはこども大工を手伝ってくれている大学生たちのアイディア。
子どもたちはやることがないと集中力がなくなってしまうので、再生紙を使用した台紙にチェキで写真を撮って貼り付けてシールなどで好きにデコレーションすることで、常に楽しく作業できるような工夫もされているんです。

出来上がったフォトフレームには、子どもたちが描いたイラストを入れます。

自分自身でつくり上げた唯一無二のイスやフォトフレームは形として残るだけでなく、みんなで一緒に夢中になってつくった思い出としても、心に深く刻まれます。
そして子どもたちはこども大工を通して、自分のものを自分でつくるという達成感を得ることができます。それはきっと自信に繋がり、成長する過程で大きな励みになるはずです。

なぜ【出張こども大工】を始めようと思ったのかについても聞いてみました。

大人も学ぶきっかけに

鮎川:私が所属する大英工務店は、主に大英産業が販売する新築一戸建ての大工工事部分の施工を担当しています。

それまで、家を建てることが目的なので余った木材は廃棄するのが普通でしたが、それに違和感を覚えたんです。廃材を違う価値に変えられないか?と考えたのが、【こども大工】発案のきっかけです。

コロナ禍でなかなか子どもたちが楽しめる行事が開催できないこともあり、なんとか子どもたちを笑顔にできないか?その笑顔を親御さんにも見てもらえないか?というところから、“学び”にも繋がるこども大工のアイディアが生まれました。

SDGsとしての位置づけ

SDGsとしての位置づけ

住宅端材を活用することは、アップサイクルや資源保護など、持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献することができます。もちろん端材がイスに生まれ変わるだけでもアップサイクルにつながりますが、大事なのは“持続可能である”ということ。

そんなSDGsという観点からも大きな意義のある【出張こども大工】について、担当の小野さんに詳しく伺いました。

子どもの成長に毎回感動

小野:体験の前に子どもたちに「これは家をつくるときに余ってしまう木材です。こんなにたくさんの木が今まで捨てられていたんです。」と説明すると、きちんと理解して「それはもったいない!」と伝えたいことをしっかり受け止めてくれるんです。

小さい頃にアップサイクルの意識が生まれると、大きくなってからも自然と行動できるようになりますよね。実際に手を動かして自分たちの手でつくり上げることで、“体験”としてアップサイクルの精神が根付き、未来でも活かされるのだと思います。

そして、【出張こども大工】は新たな雇用や働きがいも創出し、経済成長へと繋っていきます。

木材をきれいに研磨してくれるのは、障害福祉サービス事業所の『桑の実工房』の方たち。丁寧に磨き上げてくれるので、こども大工で使用するキットだけでなく、端材を活用したスマホスタンドなどのノベルティやトロフィーなども一緒に取り組み、仕事の幅が広がっています。

もうひとつ、大工さんのセカンドキャリアとしての側面もあります。大工さんは職人気質でもくもくと仕事をするタイプの人が多く、最初は子どもたちと作業することに戸惑いもあったようですが、実際に活動が始まってみれば「孫と接するようで楽しい!」と、今では積極的に参加してくれています。

子どもたちにとってはイスとフォトフレームをつくるだけでも大変な作業なので、イベントのあとには「こんな小さいものでもこんなに大変なのにお家をつくっている大工さんはすごい!」と感想を述べる子もいて。

こども大工に関わっていると、「こんなに小さな子どもたちにもちゃんと伝わるんだ!」という感動があるんです。

【出張こども大工】がもたらす未来

【出張こども大工】がもたらす未来

さいごに、【出張こども大工】がこれからもたらしてくれる可能性について、鮎川さんにお聞きしました。

鮎川:【出張こども大工】は子どもたちにとって、ものづくりの楽しさだけでなく大変さも知ってもらえる貴重な機会。そして大人たちにとっても気付きや学びが多く、やりがいがあるイベントです。そうやって、端材からイスやフォトフレームへ資材として循環するだけでなく、子どもたちから大人へ、そしてまた子どもたちへと、想いも循環していくんです。資源を守る気持ちや生きがいを持つことの大切さを育み、子どもたちの成長によって大人もまた気付かされる。私自身、【出張こども大工】がきっかけでSDGsについて以前より意識するようになりました。端材活用におけるプロジェクト【HAZAI SDGs PROJECT】の一環として、廃棄の木材とプラスチックを掛け合わせて人口木材をつくる取り組みなどにも取り組んだり、新しい動きも生まれています。【出張こども大工】の可能性は、これからもまだまだ広がっていくことでしょう。

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